【ねじの知識】ねじ締結について
ねじ締結とは、ねじ部品を用いて2個以上の部材を締結することです。
ねじを回転させ締め付けをおこなうと、被締結物には圧縮力(挟み込まれる力)、おねじには引張力(締結物から反発する力)がかかります。この力がおねじ、及びめねじの締付け座面、互いのねじ面などの摩擦抵抗と相まって強固な締結となります。ねじ部品の使用期間中は、絶対にゆるまないことが必要条件となります。
ねじ締結の特徴は、締結力を調整できること、必要に応じて分解できることです。
締結力とは被締結物を挟み込む力(押さえ込む力)のことをいいます。
例えば、M4小ねじの場合、ねじの頭部座面が被締結物に着座する時( 0N・m )~推奨締付けトルク ( 1.70N・m )まで締め付けをおこなうと、締付力は0N~約2,000N まで調整することができます。締付力約2,000Nは、大型力士の体重で押さえ込んでいるイメージになります。
また、M8小ねじの場合、推奨締付けトルク ( 14.8N・m ) の締付け力は約9,000Nになります。
締付け力約9,000Nは、軽自動車の重量で押さえ込んでいるイメージになります。
また、必要に応じて分解できることは、ねじ部品の最大の利点でもありますが、ゆるみにつながる危険性も持ち合わせています。
そのため、ねじ部品の選択と使用にあたっては、ゆるみ防止に十分な考慮が必要になります。
一般的にねじ締結において、ゆるまないよう確実な締結をおこなうために、締結力を強くする(強く締める)傾向があります。しかし、締結力を強くすればゆるまないというわけではありません。強く締めすぎると、ねじが破断する、相手材が破断する、相手材が潰れるなど様々な問題が発生します。
特に、被締結物が樹脂材の場合は締め過ぎによりクリープ(一定の外力が長時間かけられ、材料の変形が時間の経過とともに増加していく現象:変形したまま形状が戻らなくなる)を発生させてしまう可能性があるため、強い力で締めすぎるとゆるみ易くなってしまいます。
締結をおこなう相手材の材質には様々なもの(金属、樹脂、アルミ、CFRPなど)があり、その相手材の材質の強度や特性により、締結条件を変える必要があります。また、ねじの材質についても同じことが言えます。
軽量化素材(樹脂、アルミ、CFRPなど)への正しい締結方法・ねじ選定とは?
単体破断トルク
ねじのねじり強さのことをいいます。
頭部座面を浮かせた状態でねじ部を固定し、ねじにトルクを加えねじ部が破断した時のトルク
単体破断トルク以上のトルクによる締付けは、締付け中にねじ破断をおこす可能性があるため、締付けトルクは単体破断トルク以下での締付けを推奨しております。
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