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【ニュースレター・2021年1月号(第73号)】新春トップ対談をお届けします!

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「ニュースレター」は毎月15日発行の社外報です。(メルマガ読者には翌日の16日に配信)

日東精工の取り組みや旬のTOPICS、コラムなどお役立ち情報をお届けしています。

今月号はこちら

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京都工芸繊維大学 森迫清貴学長&当社代表取締役社長 材木正己

「なぜ」「どうして」を掘り下げ

デザインシンキングで、

大きな幹を育てていく 

 

京都工芸繊維大学の経営協議会委員を当社代表取締役社長材木正己が務めさせていただくほか、

当社が地域のために設立した綾部工業研修所に講師派遣などの人的支援をいただいたり、

産学連携、国際交流などいろいろな側面で、良好な関係を築いています。

2021年、新しい年のはじめに未来志向の対談をご紹介いたします。

 

森迫学長と材木社長

 

 

材木正己当社代表取締役社長(以下材木):先生のご専門は建築だと伺っておりますが、私どもでは住宅設備用の製品もたくさんつくっております。住宅設備や建材メーカさんにねじ締め機を納入させていただき、ねじ締め作業の効率化や品質の向上に貢献をしております。 

 

森迫清貴京都工芸繊維大学長(以下森迫):そうでしたか、それは存じ上げず失礼いたしました。御社製品を目にしていることはあったはずですが、新しい技術導入など特別なことは別にして、既存のものについては大丈夫であるという信頼があるので、一つひとつがどこの製品かを意識することは少ないのです。ただ1995年の阪神淡路大震災のあと、被災地をたくさん視察しました。そのときに、鉄骨など溶接管理の難しさを目にするにつけて、締結、機械接合の大事さを感じました。締結は古くからある技術ですが、いろいろな新しい可能性も秘めています。

 

材木:当社では工業用ねじをはじめいろいろな製品をつくっています。最近も一般社団法人素形材センターの会長賞をいただいた異種金属結合「AKROSE」は、たとえば電気伝導率の違う銅とアルミニウムなどを溶接や接着剤を用いず冷間圧造技術で強固に接合する技術で、EVカーのバッテリーや蓄電池などへの採用が見込まれるものです。先生のご専門の建築分野でもいろいろな広がりがあると思います。 

 

森迫:20世紀は鉄とガラスの時代でしたが、21世紀はいろいろな新素材が登場。たとえば建築でも軽い素材を使ってということで、まだ短期間使用の小さいものへという限定はあるのですが、炭素繊維を使った建築物というものも生まれています。新しい締結技術へのニーズもあると思いますね。 

 

森迫学長

 

 

材木:ええ、付加価値の高い製品を得意としているところですので、鋭意、アンテナを広げています。技術や製品に評価をいただくことは多いのですが、会社の知名度という点では、まだまだ課題がありますね。昔からのお客様ではない、新規の 方に信頼していただくためには、会社の知名度、ブランド力を高めることが大事だと思っています。と同時に、地域のために貢献していくという創業理念は、ずっと今も守り続けています。 

 

森迫:御社のある綾部でグンゼが創業し、その後、女性だけでなく男性雇用も生み出すためにとグンゼにならって、日東精工がつくられたそうですね。綾部はモノづくりの大きな柱(2つのどちらも一 部上場企業)がある、よそにはない珍しいところです。山陰線で綾部から福知山に向かうとすぐに、車窓として右側に日東精工が見えてきます。敷地も広いし本社の建物も歴史ある重厚なものなので、これ自体が大変な資産でしょう。だから、もう少し外に向けて見せ方を工夫されアピールされたらいいのにと感じています。グンゼに比べて知名度が低いのはちょっともったいないですね。失礼なことをいって恐縮なのですが……。

 

材木:いえいえ、ありがたいお言葉です。なかなか自分たちでは気がつかないことも多いです。そういうご指摘は刺激になりますし、会社変革や価値向上につながります。

 さて、それで、じつは私自身は10年ほど、品質管理を担当していたことがあります。ねじの不具合が生じたとなるとメーカさんに謝りに行かないといけないわけですが、そのときに「なぜ」それが起こったのかということをしっかり把握することをいちばんに心がけていました。製造部門に行っては「なぜ」、出荷したところに行っても「なぜ」、最低でも「なぜ」をそれぞれの部門で5回以上は投げかけていたわけです。「なぜ」を突き詰めると、結局は教育、人に行きつきます。大学は教育、人づくりの最前線、やっぱりご苦労も多いのでしょう。 

 

森迫: 私は教育者になりたいと願ったというよりも、自分の好きな研究を続けてきた結果、大学にいます。おそらくこういう職員が多いのだと思います。問題を解決する喜び、ある種ブレイクスル ーを感じることが大事で、皆、それを経験してきたことがベースになっています。大学教育はそれを伝える、その道筋をつくることだと思っていま す。たとえば自分の学位論文を例にとるならば、課題に対してある程度の結果は出せていて随時発表はしていたのですが、十分に納得、満足できるものではなかった。それがついに、ようやくうまくいく方法を見つけられた、良い結果が得られたわけです。ヨーシと思ってそのことをまとめて発表すると仲間からは、すごいなと称賛されたわけですが……、論文指導教授からはOKがでない。なぜその方法でうまくいくのか、その根拠を数理理論的に示せといわれまして、結局その後1年かかりました。

 

材木:以前に、超一流のアスリートは自分がなぜうまくいったか、それを自分の言葉で説明し再現することができる。しかし一般の人は、たまたま、そのときはうまくいったかもしれないけれど、それを自分で解説できない。まぐれと成功は違うというお話をうかがったことがあります。同じですね。ストンと腑に落ちることが大事。結局、根本の問題ですね。 

 

森迫: 材木社長のご本のなかに「『Think』とは心のなかに形をつくる」という項目がありましたが、ほんとうにそうだと思います。頭を使え、考えなさいなどと、漠然と口にすることがありますが、いわゆるデザインシンキング、アートシンキング、どんなふうに大枠設計をするか、イメージを膨らませてどんな形にしていけるか、どういうプロセスを経て結果を導きだすか全体像を描くことが大事だと思います。

 

材木社長

 

 

材木:今の小さな子供はイメージするのが苦手だと聞いたこともあります。「なぜ」の話に戻りますが、「なぜ」に対してインターネットなどで「答え」が簡単に見つかることが多い。でも、答えはひとつとは限らない。それは数ある答えの一つにすぎなかったり、誰もが知っている新鮮味のない「答え」だったりしますね。その一方で「こうするとうまくいかない」と結果がわかっていることに対して、チャレンジしない傾向にあるそうです。先生は多くの学生に接してこられたわけですが、いかがですか。この子はできる、おもしろいというのはある程度わかるものですか? 

 

森迫: 難しいですね。もちろん最初から優秀なものもいますし、こいつは何を考えているかよくわからんというのが、何年か経って大化けしていることもあります。ただ「どうして」といつも考えている、自分が理解したことをさらに深めようとする学生が伸びるのは確かだと思います。

 

材木:その一方で「わかった」ような気になって、それで満足してしまっている人間も多いですね。木を見て森を見ずという言葉がありますが、今は木どころか枝ばかり見ている。私などは「そこがゴールじゃないよ、その先にもっといろいろな可能性が広がっているんだよ」と思ってしまいますね。デジタル化が進んでたくさんのデータ解析で、客観化や改善には役立つかもしれないけれど、やはり経験の蓄積がないと新しいものは生まれません。平均的にきっちり仕事をこなす優秀な人材も必要だけれど、突拍子のない発想をする尖った人間も必要だと思います。 

 

森迫: 社長がおっしゃった人間というのは、ダイバーシティ、多様性に通じますね、国籍、性別、年齢、一人ひとり違います。社長が経験されてきたことと私が経験してきたことは違いますが、こうやってお話をしているなかで、こんなところは考えが似ているな、ここは違うなということがおもしろいわけです。木にはたくさんの枝があります、それが可能性だとします。いろいろな枝が伸びていくわけですが、日当たりが悪くて途中から成長できなくなる枝もあります。それならば幹に戻って別の枝を試してみればいい。途中でポキンと折れてしまう枝もあります。その枝がダメになったら、それで終わりでなく根本に立ちかえり、幹から、また新しい枝を芽生えさせればいい。あるいは根まで行ってもいい。立ち返っていくことができる、幹を大事に太くしていくことが人間力だと思っています。問題解決力を育てることにもつながると思います。

 

 

社会貢献という言葉ではなく

その中身が大切

 

材木:「社会貢献したい」「世の中に役に立ちたい」という入社志望者が多くなりました。その一方でハングリー精神が欠けてきたとも感じていますが、京都工芸繊維大学ではいかがですか? 当社は8ヶ国でグローバル展開をしています。誤解されるといけないのですが、東南アジアのいわゆる「開発途上国」の従業員からは「技術を覚えて暮らしを変えたい、良くしたい」「家族を楽にさせたい」といったより切実な言葉は返ってきても「社会貢献したい」といった言葉を耳にすることはあまりありません。社会貢献したいという入社志望者が増えた話をしましたが、日本では格差社会といわれ底辺で苦しむ人がいる現実はあってそこを切り捨てることはできませんが、それでも、ほとんどの人間が「ものすごく裕福、恵まれているとはいえないけれど、そこそこ幸せ」という人間が多いのだと思います。 

 

森迫: 私は近代において3度目の教育の危機・節目だと思っています。最初は明治維新。古い価値に縛られていると、日本という国が呑み込まれるという危機感。欧米諸国、列強国に対して追いつけ追い越せで、京都工芸繊維大学の母体になる旧制の京都高等工芸学校・京都蚕業講習所もつくられました。2度目は終戦(敗戦)から立ち上がっていく、国の復興のために、いわゆる帝国大だけでなく、多くの人が高等教育を受けられるように、各都道府県に国立大学が設けられました。

 そして3度目は少子高齢化が進む現在の状況です。閉塞感が漂って希望がもちにくい、明確な目標、ビジョンがもちにくい時代です。「社会に貢献したい」といった言葉は、こういう社会状況の裏返しだと思います。「社会貢献」そのものは大切なことです。ただ、社会貢献とはなにか、なにをするかその中身がもっと大事ですね。少子化で大学統廃合、再編の議論もあります。私は大学の人間ということもありますが、大学の数を減らすことなく、高等教育を受ける人の裾野がもっと広がって「人間の社会」というものを考える人が増えていってもよいのではと思っています。

 

材木:明確なビジョンが描きにくい時代という言葉が出ましたけれど、こういう時代だからこそ、社長の役割は理念を大事にする、それをより良きものに育てていくことだと思っています。 

 

森迫: 企業はその理念をもとに皆が同じ方向を向いて力を合わせて、利益を上げていくわけですが、大学が少し違うのは、一人ひとりが違うテーマをもっていて、その時間軸も違うということです。でも、どういう形でどこへ向かっていけばいいか大枠をつくって示していかなければならない。副学長、そして学長をして実感したことですが、おそらく材木社長もそうだと思いますが、会う人の数、入ってくる情報量が本当に多い。もちろん、自分だけでなく他の方のいろいろな情報チャンネルを生かすことも大事だけれど、それらを整理したり、組みあわせたりしながら、道筋を示していく役回りだと思っています。

 

材木:私どもはメーカですから、社会に役立つ製品をつくるということが社員のモチベーションアップにつながっていくと思っています。技術者はパテント(特許)をたくさんとることが大事。新しいことを発見することが感動を生むわけで、それが評価につながります。

 その一方で、製品開発だけでなく、たとえば間伐をお手伝いするモデルフォレスト運動や由良川の河川清掃などのボランティア、あるいはいろいろな地元イベントにも、企業として協賛していますし、そういった社外での活動に取り組んでいるものを評価する教育制度も構築しています。

 先日のあやべ市民新聞には「学生ら脱炭素社会探る」という見出しで、京都工芸繊維大学の学生さんが、地球温暖化に取り組む人々を取材して製作するラジオ環境番組をスタートする記事が大きく乗っていました。大学も学問をするということだけでなく、人的交流で社会貢献もされていくということですね。

 

森迫学長と材木社長_3号館にて

 

 

森迫: 「福知山キャンパス」を設けたのは私の提案でした。当時は副学長だったのですが、入学生の出身地を確認したら、京都府北部の学生はたった六人でした。地方創生とかけ声はかけられても、地域に密着した人財がいなければうまくいくわけはないと思ったわけです。学生数でいえば今はまだ多くはないけれど、OB・OGが増えていけば、年々、ネットワークも大きくなっていきます。

 

材木:変化に対して、それも小さな変化に気づいて対応していくことが大事だと思っています。私は京都工芸繊維大学の経営協議会委員のひとりですが、そこのあたりをうまくされていますね。今は小さな変化どころか大きな変化、コロナ禍もあり、大変です。

 

森迫: 変化といえば、このコロナ禍で教育のパラダイムシフトが起こると考えています。今は対面型の授業が3割で、オンライン(リモート)が7割です。コロナが収束したら、すべて対面型に戻すのですかと問われることもあるけれど、そうではなく、オンライン活用も残すことも含め、1年だけでなく、数年かけてカリキュラムを見直し改革していくつもりです。

 

材木:昨年亡くなられたノーベル物理学賞小柴昌俊博士ゆかりのミュージアムでコロナ禍対策として、仮想現実の交流サイト「バーチャルカミオカラボ」を立ち上げた。参加者の分身(アバター)が仮想空間を歩くと、一秒間にニュートリノ100兆個が体を通り抜けることを表す光の粒が降り注ぐ……、現実の展示では不可能な表現で、コロナ禍がきっかけで生まれた新しい試みだそうです。他の美術館などでもオンラインの団体ツアー・修学旅行対応として「Zoom」を使ってスタッフが館内案内をし、参加者の質問に答えているそうです。施設の動画をただ黙って視聴するだけでなく、そこに参加するものです。コロナ禍のピンチでオンラインを使って新しいチャンスをつくり出したわけです。

 

森迫: もちろん、実験などオンラインではできないものもありますし、大学は人と人との直接交流で学生が成長していける場所でもあります。三密をさけるための緊急措置という側面でなく、オンラインだけで十分有効なものもある。案外、先生の個人的な都合が優先されていたものもあり、こうでなければいけないと先入観で組み立てていたものを見直すことで、いろいろな新しいメリットが生まれてくると思ってます。

 

材木:変化への柔軟な対応ですね。オンラインを残すことで、たとえば、大学間交流とか、産学連携がより深まるということもあるかもしれませんね。当社もコロナ禍で営業担当がお客様のところに出かけられない、展示会が中止になるなど厳しい状況を強いられましたが、凌ぐための新しい発想、新しいツールが、次の武器になる。「~だからできない」「~だからダメ」という視点でなく、これとこれを組み合わせればこんなことができる。いまは少し無理かもしれないけれど、次に備えてこれは準備していこうという、ポジティブな姿勢が未来を築いていくのだと思っています。ありがとうございました。 

 

森迫学長と材木社長_京都工芸繊維大学

 

 

 

2021年度経営方針

2021年度価値創造モデル

 

 

 

 2.【TOPICS】

 ・「あやべサミット」パネリストとして地域へ貢献しました

 ・短信に補足をつけるなど、様々な形でガバナンスを強化しています 詳しくはこちら

 

 3.【正己語録㊲】

  後に続く人に美しい航跡を示していく


 

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