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《スペシャル対談》経済大国インドと、どう向き合うか

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急成長を遂げている巨大な経済国インドと

どのように向き合っていけばいいかを聞く

急速に発展しているインドは当社のグローバル戦略においても重要な国のひとつです。
日本インド文化経済センター理事長 ロイ詩百瑠さんを本社にお招きし、
当社代表取締役社長 荒賀誠が、変化の激しいインドの最新状況と
インドビジネスの魅力、潜在力をうかがいました。



荒賀:今日は綾部まで足を運んでいただいてありがとうございます。ロイさんは日本滞在歴40年以上で、日本語が堪能で日本の文化や商習慣も熟知されていて、日本とインドの橋渡し的な役割をされています。昨年2023年にはNPO法人「日本インド文化経済センター(NICE)も設立されています。

ロイ:「ログレス貿易」という会社で日本とインドの貿易ビジネスもしていますが、さらに広くいろいろな面でお役に立てればということでNICEを立ち上げました。8月の開所式には京都府知事の西脇隆俊さん、市長(当時)の門川大作さん、それからインド総領事や大使にも出席いただきました。

荒賀:錚々たる方が出席されたということは、それだけ注目されているといいますか、期待度が高いということでしょう。わが社もそうですが、インド経済が好調ということで、インド進出を考える、インドとつながりをもちたいという企業が増えているようですね。まずは〈インドの今〉を簡単にご説明いただけますでしょうか?
 
ロイ:「インドは止まらない」という言葉が世界的に広まっています。少し前までは世界的企業のコールセンター、IT分野が活況でしたが、加えてこれからは製造拠点としても発展していくでしょう。GDPでいえば現在は5位、金額にして2023年は約3兆USドルですが、2030年には7兆USドルを超えると予想されています。おそらくもう2~3年後には日本を抜いて世界で3番目の経済大国になっていると思います。
 全インドにおける日系企業は2020年時点で1400社、コロナの関係で撤退もありましたが、今、また増えて、だいたい1500社ぐらいでしょうか。先日、インド大使と話をする機会があったのですが、1500社を10倍くらいにしたいということでした。荒賀社長がおっしゃったようにインドに興味をもつ企業は多く、国際協力銀行のアンケートでは「有望な事業展開先」としてインドが2年連続で1位になっています(下記グラフ参照)。



広く視野をもち、国内外と
つながることで成長する

荒賀:私どもは本社をこの小さな人口3万ほどの綾部市に置いています。これは創業理念の「地域に貢献する」を守り続けるためのものですが、しかし、かといって綾部にとどまっているわけではありません。広く視野をもち、国内外とつながって成長を続けていくことが大事。成長を通して地域にも還元ができます。現在は国内と海外の売上比が7:3ぐらいですが、海外比率をもっと上げていかなければと考えています。これまでは東アジアや東南アジア、あるいはアメリカなどとの取引が主でしたが、昨年4月にはドイツにグループ会社の「日東精工アナリテック ヨーロッパ」を設置し、欧州市場にも本格的参入を開始しました。そして世界のGDP上位5各国のうち、まだ拠点がないのがインドなのですが、インドとの関係を深めていかねばと考えています。ですから、インドのことをしっかり学ばないといけないと、ロイさんには中間管理者以上を対象にした講演会の講師をお願いしたわけです。

ロイ:私はインドとビジネスをするなら、まずはインド文化をしっかり勉強してくださいと常々言っているのです。

荒賀:郷に入れば郷に従えということだと思いますが、そのなかでもインドとのビジネスを進めていくうえで気をつけないといけないところはどこでしょう。

ロイ:細かいことはたくさんありますが、まずインド人はプライドが高いです。御社も中国や東南アジア、東アジアなどでビジネスを展開されていますが、アジアという大きなくくりで同じように考えると失敗します。上から目線ではなく対等であること、同じ目線でわかり合おうとすること、良きパートナーシップを築いていこうと考えることですね。

荒賀:驕りをもたないことですね。コロナ禍の前ですが当社でグローバルQC大会を開催、中国や台湾、インドネシア、タイ、マレーシアの現地法人の従業員が綾部の本社に一堂に会してそれぞれの成果を報告したのですが、日本に比べて発展途上の国からでもたくさんの学びを得ることができました。まずは相手を認め尊重するということが大切ですね。



ロイ:
そしてインド人のもうひとつの特長が「計算が早い」ということです。そろばん(計算機)を弾くよりも頭のなかでパッパッと損得を計算します。メリットがないと思ったらまずは話に乗ってきませんし、スピード感も大事です。

荒賀:日本の企業だと「まず上と相談して」とか「会議に諮って」とか「もろもろ確認して」といったことが多いけれど、それではいけないわけですね。

ロイ:日本人は結果を出すために念入りに計画を立てますが、インド人はあまり詳しい計画を立てずに結果がでればそれでOKというわけです。日本の方に「バスに乗り遅れるな」と申し上げることもあります。もちろん、確認も大事、手順も大事ですが、まずは急いで見積もりを出して、それをあとから修正するというようなスピードがないと、他国の売り込みなど、競争に負けてしまいます。
 それからこれは自慢にはなりませんが、インド人は時間にルーズで時間に遅れるとか、ドタキャンなどは当たり前の世界です。そして謝らないで言い訳をします。これがインドの文化です。「NO Problem! Don't worry!」という言葉もよく使いますが、その言葉を信用しないほうがいい。問題なしに簡単にいかないことが多いので何度も確認を取るのが基本です。

荒賀:日本だと約束の時間を守るのは基本のキ、それを守れないなら信用できないということになりますが、この考えをインドに当てはめると大きなビジネスチャンスを逃がしてしまう……

ロイ:それからインド人に対しては曖昧なことばとか社交辞令は通じません。たとえばビジネスでの打ち合わせがいったん終わって、食事の席などで改めて価格の話が出たとします。「考えておきます(I will consider it )」とその場かぎりの取りつくろいで言ったことばをインド人は改めてまだ交渉の余地はある、まだ安くできるととらえてしまいます。あとからその話を聞いて再調整しなくてはいけなくなったことも実際にあります。



モノづくりに長けた日本
マネジメントに長けたインド

荒賀:文化、国民性の違いなどを学びつつ、最初にロイさんが「インドは止まらない」とおっしゃったけれど、どんどん変化している、その変化のスピードにもついていかないといけないわけですね。そういったなかでこれはインドの強み、インドとビジネスを進めるメリットをさらに挙げてもらうとするとなんでしょうか?

ロイ:モディ首相の掲げる経済政策に「メイク・イン・インディア」と「デジタル・インディア」があります。前者は国内での製造促進と雇用創出です。ビジネスがしやすいように規制緩和を進め、外国の投資を引き寄せ国内産業を強化することで、「中間層」が増えています。ここから新しいビジネスモデルが生まれる可能性も高いでしょう。後者のデジタルに関してはかなり先進的で、たとえばビザの発行手続きなどもオンラインでできるようになっています。そしてそういったデジタル技術、アプリなどをアフリカをはじめとした国へ提供しています。インドは中東やアフリカ諸国とのビジネスの深いつながりがあるので、インド進出が後々の中東やアフリカとビジネスを行うためのハブにもなりますね。

荒賀:インド人はマネジメント能力が高いと世界的に評価されていますね。たとえばスターバックスやGoogle、IBM、YouTubeなどの世界的企業のトップはインド人ですし、今度世界銀行の総裁になったアジェイ・バンガさんもイギリスのリシイ・スナク首相もインド系でしょう。

ロイ:日本人はモノづくりの能力に長けています。日本の品質はインドの消費者から高く評価されているけれど、PRがあまり上手ではありません。そこにインド人のマネジメント力が加われば、Win-Winになりますね。

荒賀:インドの魅力、潜在力をお教えいただきました。新しビジネスを始めるには適切なパートナーを見つけることが大事。ぜひ、これからもいろいろご教授いただけるとうれしいです。明日の講演も楽しみです。本日はほんとうにありがとうございました。



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          管理者新春講演会を開催
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 1月13日に当社課長以上を対象にした講演会を開催しました。メインのお話は、今号の巻頭にもご登場いただいた日本インド文化経済センターのロイ詩百瑠理事長の「インド経済とインドビジネス」でしたが、この講演に先立ち、第一部として、当社代表取締役会長材木正己がまずは挨拶。その後、代表取締役社長荒賀誠が「日東精工グループのグローバル展開について」、さらにまた経営戦略本部副本部長の坂本禎人が、本年1月1日に策定した「人権ガイドライン」についての解説を行いました。
 今、目の前にある仕事だけでなく、広く視野をもつことができるように、また自分の価値観や仕事のやり方が時代に沿うものとなっているかを省みるために、当社では職位ごとにさまざまな研修を行っています。


             ※写真上は第一部でグローバル展開を解説する当社代表取締役社長 荒賀誠。
              下は日本インド経済文化センターのロイ理事長。



※本ページの内容は、ニュースレター2月号にも掲載しています


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