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[ニュースレター・2018年3月号(第39号)】 GSユアサ相談役の依田誠さんのお話を伺いました。

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「ニュースレター」は毎月15日発行の社外報です。(メルマガ読者には翌日の16日に配信)

日東精工の取り組みや旬のTOPICS、コラムなどお役立ち情報をお届けしています。

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変化に気づき、変化に対応できて

信頼を勝ち得ることができる

 

日本の蓄電池の礎を築き、自動車や産業用バッテリーのトップメーカーがGSユアサです。
とくに昨今は車載用高機能電池、リチウムイオン電池が注目をされています。
いち早くリチウム電池事業を手がけたのは「革新と成長」という企業理念があったからだそうです。
今号は、GSユアサの前社長で現相談役の依田誠さんをお訪ねし、お話をうかがいました。

 

 

材木正己当社社長(以下 材木):御社は創業100年だそうですね。

 

依田誠 相談役(以下 依田):ええ、当社は2004年にGS日本電池と湯浅電池(ユアサコーポレーション)を統合して生まれました。GS日本電池が1917年創業、湯浅電池が1918年創業ですので、2017、2018年と2 年にまたいで創業100周年として記念事業などを進めています。


材木:日東精工もおかげさまで80周年です。「長く続いていますね」というお言葉をいただくことがありますが、御社は100年企業、さらにその上をいっておられるわけで……。


依田:いえいえ、京都ではご承知のように「おたくは100年ですか、うちは400年ですわ」というのがざらにありますから、大きな声で自慢できるようなものではありません(笑)。

 

材木:確かに京都には100年、200年どころか、それ以上がたくさんありますね。しかしながら、長く続くというのはそれだけお客様から支持される、信頼されるということでしょう。なにか特別な理念とか、秘訣がおありなのでしょうか。


依田:2004年に2 つの会社が統合したと申し上げました。そのときに経営理念などを見直し作り直したので、いわゆる創業者の考えや言葉がそのままの形で残ってはおりません。創業家から伝わる社是、社訓というものはないのです。2004年に「ビジョンブック」を策定し社員に配っていますが、ここで「革新と成長」と謳っています。

 

材木:GSユアサといえばだれもがわかるトップブランドで、同じB to B企業の私どもから見ればじつに羨ましい限りです。当社も発信力を高めて
ブランド力を上げていきたいということで、先ほどご覧いただいた書籍『人生の「ねじ」を巻く77の教え』などもつくってがんばっております。でも今はどんな有名ブランドであっても、ひとつ道を誤るといっぺんに築き上げたものが崩れさってしまう怖い時代でもあります。経営理念に「革新」という言葉を入れられているのは本当に素晴らしいですね。昨今は新聞や業界誌などを読んでも「EV」※という言葉がキーワードに出てきます。御社はそれに関わる最先端、新しい時代をリードする役割を担っておられます。

 

技術変換がゆっくりだから敢えて「革新」を企業理念に

 

依田:確かに近年は「EV」が話題になり、リチウムイオン電池などが注目されるようになりました。それでも売上の12%ぐらいで、コアはまだまだ「鉛電池」です。鉛電池ができたのは約120年前なのですが、基本的な構造はほとんど変わっていません。正極と負極、プラスとマイナスがあってその間に隔離板を入れて電解液を入れるという 電池が電気を起こす原理というのは今も変わらない。初期のころにつくられた電池は木の箱に入っていたのですが、それがエボナイト、プラスチックへと素材は変わってはいるけれど、原理原則は変わっていません。技術変換がゆっくりです。
変化がないなどというと技術者に叱られてしまいますが、それでも、たとえば真空管がトランジスタにといったようなパラダイムシフト(技術革新)ではありません。だからこそ経営理念に「『革新と成長』を通じ人と社会と地球環境に貢献します」と入れたわけです。

 

材木:時代のニーズに合わせて、後から「革新」とか「挑戦」ということをプラスして謳うこともあるようですが、企業理念そのものに「革新」という言葉が入っているのは新しいですね。


依田:そうかもしれません。


材木:御社は、大きく変わることはなくても、少しずつモデファイして成長されてきました。国内外の競合各社に勝ち抜いてこられたわけですが、やはり、これは信用力、ブランド力があるからでしょう。信用やブランドは自分からアピールして手に入れるものでなく、まわりから評価され生まれてくるものです。京都の老舗が長く続いているのは暖簾にあぐらをかいているわけでなく、そのときどきのお客様を大事にして、常に変わっているからです。もちろん守るべきものはしっかり守らないといけない。しかし、頑なではなく、時代のニーズに合わせ変えていく……御社ではどういう部分が受け入れられてきたとお考えですか? あるいはどういう点でご苦労されたのでしょう?

 

依田:先ほどの「革新」という話につながるのですが、クルマのエンジンをかけるにも電池が必要ですし、産業用途で停電に備えた電源システムにはバックアップ用の電池が必要です。
 電池は社会に不可欠なもので、あるとき突然必要がなくなるということはありません。ですから当社のカンパニーカラーは、慎重で、アクションが遅い、どうしてもぬるま湯体質に陥りやすい。「石橋を叩いて、叩いて、それでもやっぱり渡らない」と揶揄することもありました。
 世界のマーケットで必要とされるのはありがたいけれど、長く続いている会社を見てみると、それは変化に対応できる力をもったところです。それで私が2006年に社長になったとき「変えなきゃだめだ」「変わらなければ生き残れない」と言い続けました。リチウム電池事業をはじめるときは反対もありましたが、どんなマーケットになるかわからないからやらないというのではなく、積極的に需要を掘り起こし、あるいは積極的に需要をつくってきました。挑戦しなければはじまりません。

 

材木:お客様が何を求めているかが原点だと思います。変化を読みとること、変化に対応することが大事だと思っています。私は市場のニーズや変化に対応していくために現場を大事にしていて、しょっちゅう出張しております。やはり、その場所に行かないとわからないこと、肌で感じてわかることもありますでしょう。先日も新たな事業展開を視野に入れてインドに出張しました。社員をその国に送るならやはり自分もその国を知っておかないといけない。
 そのときに、インドの情報を事前にレクチャーを受けますとマイナスな印象を含んだ説明を受けることが多かった。しかし実際に行ってみると、情報がもう古くなっているものも多い。ビジネスに関することもそうですし、現地の生活情報なども変わっており、いいものをたくさん得られました。2018年は戌年ですが、犬をみならって、嗅覚をさらに鍛えていきたいと思っています(笑)。依田相談役は長く海外にいらしたとお聞きしていますが、グローバルに仕事を進めていくうえでの秘訣などをぜひともお教えいただければありがたいのですが…。

 

ものさしは一つとは限らない 日本式に固執しないことが大切

 

依田:ものさしを変えることが大事だと思いますね。ついつい日本のやり方と比較しがちですが、その国の考え方、ものさしにリセットする必要があります。
 私は1972年に入社してすぐにギリシアのアテネに赴任、その後、ドイツのデュッセルドルフ、中国と駐在をしました。12年間海外で、中国から帰国して今度は東京で営業。京都に本社がある会社だけれど、京都にいたのは3年間だけでした。私が社長になったときは社長の顔を知らない人間ばかりで「あいつは誰や」でした(笑)。
 それで話を戻しますが、ギリシアでは中近東やアフリカを、ドイツでは近隣の国も含めヨーロッパ各地を営業としてまわっていました。営業ではさほど感じなかったけれど、中国で工場のマネジメントをまかされたときには、「日本のやり方」「日本のものさし」と違うことを痛感しました。

 たとえば「1」からはじまって「10」までプロセス工程があるとします。日本だと「3」の工程の担当は「3」だけでなく、「4」のはじめ、あるいは「2」の終わりまで、決められたところから少しオーバーラップさせて補って作業を終える。もしなにか不具合があっても、それじゃこちらでなんとか調整しておくというのが基本にありますが、中国や東南アジア、いや日本以外では「3」なら「3」の部分が自分の役割だと割り切ってその枠を超えることはありません。で、もしなにかあった場合も自分たちはしっかりやっているので、「責任はここにない」となるわけですね。この考え方は変えられない、日本から指導者がいるときは、そのときだけはうまく回っても、基本は変わりません。

 

 

材木:そのあたりを織り込んでマネジメントをされていたわけですね。実は私もタイの現地法人の責任者をしたことがあります。そのとき、専用の運転手がついたわけですが、当時は携帯電話がなかったので、お客様との会食のときなど、運転手がずっとそのまま外で待っているわけです。それで「いや、もう今日はいいよ」と帰すことを何度か続けたら役員会で大問題になりました。こちらは早く家に帰して家族と過ごしてもらいたいと良かれと思ったのですが、そうではなく現地では、仕事を減らされた、お金を儲ける機会を奪われたということなのですね。こういう経験をし、「違う」という感覚を肌身で知っていることが大事ですね。
「なんで日本式にせんのか」というと、無理が出てしまいます。

 

求められるのは語学力より、胆力、適応力

 

材木:国際競争がますます激しくなる時代、あるいは海外との連携などが増えていくなかで、これからの人間になにが求められると思われますか?


依田:国内でできない人間が海外で活躍するというのはまずないですね。もちろん適材適所というのがありますが、いくら語学ができても、営業ができない、マネジメントが不得手な人間に海外営業の期待はできません。自分もそうでしたが、語学は後からついてくる。当社はかつて、海外営業ならずっと海外。国内営業ならずっと国内というように棲み分けがあったのですが、グローバルな時代に国内だけ、あるいは海外専門というのもないでしょう。私が国内営業を担務してからはその枠組みを取り払い、これだと思う人間は、一本釣りでどんどん海外に出しました。たまに外れもありましたが、大抵はうまくいきました。打診すると、まず「え、英語ができないです」という答えが返ってくるのですが、皆、中学、高校、大学と英語を習ってきた下地がある。極端にいえば筆談でなんとかなる。いきなりアラビア語を話せというのではないわけですから、なんとかなる。

 英語ができるといっても、目の前の商談相手、お客様とは英語でやりとりをしても、横にいる上司や、同僚、あるいは関係会社の日本人とは日本語で話している、で、その日本語のやりとりは相手にはわからないということも多い。その場はすべて英語でやりとりするぐらいでないと本物ではありません……。

 あまりうるさく言うと煙たがられるのですが、最近は複数で海外出張をする。しかも現地には駐在スタッフがいて事前に空港への送り迎えまですべてをアレンジしてもらっているというケースも多いです。
 かつては、海外出張はひとりです。一度出かけると出ずっぱり。しかもスマホやパソコンがなかった時代ですから、交渉していて、いちいち本社に国際電話でお伺いを立てるということでなく、その場その場で、自分で決断するしかなかったわけです。

 

材木:語学も大事ですが、結局は胆力とか、センスといったことでしょう。そして、トップは「こうしていく」という経営のフラッグを立てると同時に、繰り返し繰り返し、伝えていくことも大事ですね。依田相談役は京都工業会会長でもおられるわけですが、人財育成という点でのご苦労はございますか?

 

 

依田:最近はとくに中小企業が人手不足ですね。課題は技術の伝承がなかなかうまくできないことです。正社員が減って請負、契約社員が増えています。いくら機械がつくるといっても、微妙な匙加減は要所要所でいわゆる職人技です。これは見て覚えるもの、そのつど現場で学んでいくものですが、正社員でない人が増え、そこがうまく機能していません。当社などでも「全部ビデオに撮っておきなさい」などというのですがなかなか進まない。


材木:うちもそうですが、ルーティンの仕事がありそこまで手がまわらないということでしょう。さて「京都はものづくりを大事にする」などといいますが、京都工業会でも研究会やセミナーなどのプログラムが豊富ですね。

 

依田:京都工業会では毎年、講演会、勉強会を300回以上開催し、新しいIoTやAIから伝統的なモノづくりまで、いろいろ学べる機会を設けています。座学だけでなく、各社ご協力いただいて工場見学なども行っています。「ものづくりの京都」を強調する方もおられますが、京都という枠にとらわれず、世界的に活躍できる人財が育っていけばいいですね。

 

材木:私どもの人財教育テキストに「森は時間の蓄積である」というのがあります。すぐに結果を出さないといけないものもありますが、時間をかけてつくりあげるものもあります。御社は新しい会社を加えられたというのではなく、100年と100年、2つの歴史の重みがあるわけですね。実は私どもも「綾部工業研修所」という地域の技術者や研究者の底上げのための教育機関をサポートして、50年になります。相談役がおっしゃるように、綾部、京都を大事にしつつ、京都工業会とも連携し、世界標準で活躍できる人財を大事に育てて行ければと願います。

今日はありがとうございました。

 

 


 

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5.【正己語録③】

  100年企業を目指して

 

6.【連載③・あやべちょっと寄り道】

  花、花、花のまち

 


 

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